保険会社が動いてくれない時の事故対応事例

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せっかく自動車保険に入っているのに、事故の際、全く動いてくれないという事例がありましたので、紹介しましょう。

 

まずは、簡単にこの事例での登場人物のプロフィールを把握しておいてください。

A さん:

事故当事者。
車は12年落ちで、近々、買い替えを検討していたため、車両保険付けず。
契約している保険会社はダイレクトP 損保。

B さん:

事故当事者。
車は新車で、車両保険は時価相当。
契約している保険会社は代理店型Q 損保。

事故概要:

2車線の直線道路の左車線をA さんが走行していたところ、交差点(青信号)手前で、急に、B さんの車が、右折専用レーンである右車線から左車線に飛び出してきました。
A さんはハンドルを切ったものの、避けきれず、右側のドアミラーにB さんの車が接触。

2人にケガはなく、2台の車を路肩に寄せて警察に電話し、現場検証してもらいました。

この際、B さんは

「すみません、考え事をしていて、道を間違えたので、慌てて左車線に出てしまいました」

と証言。
A さんは、これなら、相手の保険会社が車の修理費用を負担してくれるだろうと安心していました。

とりえず、P 損保に事故報告の電話をすると、「相手の保険会社からの連絡を待ってください」とのことで、詳細は何も聞かれず、電話を切りました。

それから3日経ち、A さんに、Q 損保から電話がありました。
事故当日のB さんの証言をひるがえし、A さんの回避が不十分であることを主張してくるのです。

納得がいかないA さんは、P 損保に連絡しましたが、「そちらで話し合ってください」でナシのつぶて。
担当者の派遣はもちろん、詳細の確認すら、する気配がありません。

この事故の場合、P 損保に損害はありません。
契約者であるA さんが被害者であることを主張しており、かつ、車両保険にも加入していませんから、P 損保に保険金を請求してくることがないからです。

この状況を良いことに、P 損保は何も対応しないでおこうという魂胆なのでしょう。

Q 損保がA さんの過失を主張しており、P 損保が動いてくれないので、A さんは、懇意にしている自動車整備会社の社長に相談しました。
この社長は任意保険の代理店もしているので、何か良い手立てを考えてくれるかもしれませんから。

社長はA さんの相談に対し、こう答えました。

「私がQ 損保と交渉してあげたいんだけど、できないんだよ。
以前、こういうケースで交渉してあげたことがあったんだけど、裁判沙汰になって大変だったんだ」

確かに、交通事故で自分に過失がないこと(10対0)を主張する際、代理で相手と交渉できるのは弁護士だけと、法律で定められています。
さらに、この事故の場合、P 損保だって今のところ被害はゼロなので、A さんの交渉を代理する権利はありません。

このままだと埒があかないので、社長は、こう提案しました。

「A さんは車が使えないと仕事に支障があるから、修理してあげるよ。
で、その旨を、P、Q 両損保に連絡してあげる。
実際に修理したとなれば、保険会社は無視しにくいからね」

A さんは社長の提案に同意し、車の修理と、損保への連絡を済ませました。

すると、やはり、両損保は動いてきたのです。

P 損保は、担当者を手配して、そちらへ行かせる。
Q 損保は、修理状況を確認しに、担当者をそちらへ行かせる。

と、連絡してきました。

さて、この後、どうなるでしょうか?
進展あれば、後日、記事を書き加えます。

で、その前に。

今回のP 、Q 両損保の対応、みなさんは、どう評価されますか?

P 損保は問題外。
Q 損保もイマイチですね。

けれど、残念ながら、損保の事故対応って、この程度だと思っておく方が良いです。

「いいや、私は真面目にやってるよ!」という担当者や代理店の声はあるでしょうけれど、そういう真面目な人の声があまりにも少ないのですね。

そのため、事故に備えて、保険加入者が、それなりに理論武装していかなきゃならないというのが現実です。

一方、自動車整備会社の社長の対応はどうでしょうか?

相手が過失を認めていない段階での修理は、微妙ですね。
下手すりゃ全額自腹になりかねない。

では、結局、A さんは、どうすれば良かったのでしょうか?

まず、Q 損保がA さんの過失を主張してきた段階でP 損保に連絡します。

「相手は、過失がすべてこちらにあると主張しています。
このままだと、10対0で負け、対物賠償で損害全部を負担することになりそうなんですが、それでも良いんですか?
もちろん来年は別の損保に乗り換えますし、こういう対応していることを本部に連絡しても良いんですよ!」

と、脅しをかけるのです。

損保は、保険金の支払いを抑えることも営業成績の1つと見ていますから、ムザムザ保険料を払い出す可能性があるということを本部に連絡はされたくないはずです。

脅しをかけるまえに、直接、本部に連絡しても良いでしょう。

それでも対応が変わらなければ、交通事故紛争処理センターや弁護士の交通事故相談センターなどに連絡です。

A さんは、幸い身体に影響はないので、納得がいくまで、粘り強く交渉してみるべきだと思いますね。

それと、まさかの時に備えて、ドライブレコーダーは必要でしょう。
最近は安いのも高性能ですから、車両保険代わりに取り付けておくべきかもしれませんね。

(後日追記1)

その後、P 損保の「代理人」がA さんに連絡してきました。
交通事故対応専門の第三者機関の担当者が、P 損保の依頼を受けてきたのだそうです。

代理人は、P 損保から事故の詳細を何も聞かされておらず(そもそも、P 損保はA さんから事故の詳細を調査していません)、何をして良いのかわからないとA さんに言ってきたそうです。
P 損保の悪口を言い、最近はそういう損保が増えて困ってるんだというような愚痴をA さんに聞かせたらしい。

P 損保が第三者機関に代理を依頼したのが事故から1ヶ月も経った後ということで、相手と交渉するにも、できることは限られてきます。
現場検証や事故の目撃証言を集めるのは無理ですから、過去の自己対応事例からよく似たケースを探しだして、交渉の材料を見つけるしかありません。

この後、どうなるのか不明ですが、A さんが事故相手のQ 損保に車の修理費用を丸々負担させるのは、かなり難しくなったと考えざるを得ません。
事故対応は1分1秒でも先手を打つことが重要で、待っていては自分が不利になる一方だという教訓になりますね。

(後日追記2)

P 損保の代理人は、この難交渉を上手くまとめたようで、A さんとB さんの過失割合を1対9にするということになりました。
A さんにとっては万々歳の結果でしょう。

ところが、実際の損害額を計算する段になり、A さんも喜んでばかりはいられないということが分かりました。

A さんの修理費用見積もりは30万円。
これに対し、車の時価は17万円。
B さんが加入しているQ 損保は、過失割合で考えると、30万円の90%である27万円を支払うことになるはずが、最高でも時価の17万円の支払いで済むことになります。
A さんにしてみれば、修理費用で最低13万円の持ち出しなんですね。

一方、B さんの車は新車です。
B さんの修理費用見積もりはまだ出ていませんが、仮に50万円だったとすると、A さんの過失分はその10%で5万円。
過失を相殺すると、A さんに支払われる保険金は12万円となり、修理費用18万円の持ち出しとなるわけです。

こうなると、保険金額を計算に入れた上で、Q 損保は不利な過失割合をのんで、事故の早期解決を図ったのか?と勘ぐりたくなりますね。

さて、B さんの修理費用見積もりが出てきた時、A さんは車を修理するのか、廃車にして買い替えるのか、難しい選択を迫られそうです。

(後日追記3)

B さんの修理見積もりが27万円と出ました。
過失割合と過失相殺を合わせて、A さんには17万円-2.7万円=14.3万円支払われることになります。

A さんは自分の加入しているP 損保の対物賠償を使えば、自分の過失分である2.7万円を保険で出せることになりますが、当然、そんなことはしません。
そんなことで保険を使えば、翌年以降の保険料が跳ね上がりますからね。

B さんは自分の車の修理費用27万円と、A さんの車の修理費用からA さんの過失分を引いた14.3万円を合わせ、41.3万円の負担となります。
この金額なら、保険を使って自分の車を修理し、A さんの車の修理費用を出す方が得でしょうか?

賠償金額が小さかったためか、B さんが加入しているQ 損保は、A さんの車の修理状況を確認することなく、14.3万円を振り込んでくるようです。

A さんは、車を修理すれば30万円かかり、15.7万円の持ち出しとなりますので、修理はせず、廃車にするそうです。
14.3万円を頭金に、新車への買い替えを検討しています。

結果的に、A さんは保険を使うことなく、車を買い替えることになりました。
車の買い替え費用は高くつきますが、どうせ近いうちに考えねばならなかったことで、あきらめはつきます。

B さんは、来年以降の保険料値上がりが総額で数十万円になるでしょうから、痛い出費です。

少しの油断が招いた事故。
みなさんも、気をつけてください。

(後日追記4)

この事故の事例は物損でしたが、人身事故の場合は、対応も変わってくるでしょう。

被害者側は、自分の体のことや、仕事を休まねばならなず、収入が途絶えるという面もありますので、できるだけ早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。

初回相談無料の弁護士さんはたくさんありますので、ネットで事例を探す前に、すぐに相談を!

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